【この記事でわかること】
- 科学的に風邪予防が認められている習慣
- 運動が免疫力を高める理由
- 今日からできる「風邪をひかない10の方法」
冬になると、
- 風邪をひきやすい
- 喉がすぐ痛くなる
- 家族の風邪がうつる
と悩む人は多いもの。
でも実は、“風邪を引くかどうか”は運ではありません。科学的にみると、風邪は 予防できる行動 によって大きく左右されます。
この記事では、研究で効果が示されている風邪をひかない10の習慣を紹介します。
今日からすぐに取り入れられる内容なので、ぜひ生活に役立ててみてください。
科学的に認められている風邪をひかない方法10選

① 軽い有酸素運動を習慣にする
有酸素運動をすると、免疫細胞(NK細胞・好中球)が体内をめぐる量が増え、研究では風邪の発症率が 20〜50%低下 することが報告されています。
スロージョギングがオススメ

スロージョギングとは、名前とおりとてもゆっくり走るジョギングのことです。体に負担をかけずに血流を高め、免疫細胞の巡回が増えるため、風邪予防として最適な軽い有酸素運動 といえます。
- 歩くより少し速いペースでOK(会話ができる強度)
- 歩幅は小さく
- 指の付け根で着地
- ペースは一定
- 5〜10分から始めれば効果あり
「こんなにゆっくりでいいの!?」と感じるくらいのスピードでOKです。
スロージョギングの詳しいやり方は下記の記事で紹介しています。体力アップやダイエットをしたい人必見です!

② 鼻呼吸を意識する

鼻は天然の“空気清浄機”。空気が 加温・加湿 され、鼻腔で作られる 一酸化窒素(NO) が抗ウイルス作用を発揮します。
鼻呼吸のポイント
- 鼻から吸って、ゆっくり吐く
- 吸うときは背すじを軽く伸ばす
- 口は軽く閉じる
鼻呼吸は、空気を「温める」「湿らせる」「ウイルスをブロックする」という 3つの防御機能 を持っています。
③ 肩甲骨まわりを動かす
肩甲骨が固まると胸郭が広がらず、呼吸が浅くなり、気道の防御力が低下します。肩甲骨まわりを動かす「肩甲骨エクササイズ」は 呼吸の深さ=免疫力 を高めます。
肩甲骨エクササイズ「肘まわし」

- 両手を肩にのせる
- 肘で大きな円を描くように前からゆっくり回す(10回)
- 次に、後ろまわしを同じく10回
- 呼吸を止めず、動きに合わせて自然に続ける
肘を回す意識より、肩甲骨そのものが前後に大きく動く感覚を大切にすると、胸が広がり呼吸が深くなります。
肩甲骨まわりに痛みや違和感がある方は、下記の記事で紹介しているストレッチを行いましょう!

④ヨガで免疫細胞を活性化
ヨガはストレスホルモン(コルチゾール)を下げ、自律神経を整え、免疫細胞の働きを改善します。
キャット&カウ

背骨と胸郭が大きく動き、呼吸が深くなることで粘膜の防御力がUP。自律神経が整い、免疫機能も高まりやすい効果があります。
- 四つばいになる(手は肩の下、膝は腰の下)
- 息を吸いながら背中を反らせて胸を開く(カウ)
- 息を吐きながら背中を丸めてお腹を引き込む(キャット)
- 呼吸に合わせて10回ほどくり返す
「吸うと胸を開く」「吐くと背中を丸める」… 呼吸のリズム を最優先に。
お腹をねじるポーズ

胸郭まわりがほぐれることで 横隔膜の動きが良くなり、深い呼吸が可能に。血流も改善し体温維持につながります。
- 座って背すじを伸ばす
- 右手を左膝、左手を後ろに置く
- 息を吸って背すじを伸ばし、吐きながら左にねじる
- 反対側も同様に行う
背すじを“上に伸ばしてからねじる”と、胸郭が大きく動き呼吸が深くなる。
三日月のポーズ

胸と股関節が同時に開き、胸式+腹式呼吸が深まり免疫が高まりやすい。全身の血流が改善し、体温が上がりやすいポーズ。
- 片足を大きく前に出して膝を立てる
- 後ろの膝を床につき、骨盤を前に押し出す
- 両腕をゆっくり頭上へ伸ばす
- 胸を軽く開きながら深呼吸(左右とも行う)
手を高く上げるより、胸を開いて呼吸を深めることを優先して。
⑤ 筋トレで体温を上げる
軽めの筋トレは血流を上げ、深部体温を保ち、免疫細胞が働きやすい状態をつくります。
下記の記事では「科学的に認められた体温を上げる方法」を10コ紹介しています。筋トレと合わせて実践して下さい!

スクワット

太もも・お尻など大きな筋肉が動くことで 血流が大幅に増え、深部体温が上がり、免疫細胞が働きやすくなる。
- 足を肩幅に開いて立つ
- 背すじを伸ばし、椅子に座るようにお尻を後ろへ
- 太ももが軽く張る位置で止まり、ゆっくり立ち上がる
- 10〜15回を目安に
呼吸を止めない のが最重要。下がるときに吸い、上がるときに吐くと体が温まりやすい。
ハイプランク

体幹が安定すると呼吸筋(横隔膜・肋間筋)が働きやすくなり、深い呼吸=粘膜防御力UP → 感染のリスクが下がる。
- 肩の下に手を置き、足を後ろに伸ばす
- 頭〜かかとが一直線になるようにキープ
- 20〜30秒保持(無理のない範囲で)
お腹を軽く引き込むと 横隔膜が働き、呼吸が深まりやすい。
カーフレイズ

ふくらはぎは“第二の心臓”。ここを動かすと 全身の血流が改善し、免疫細胞が巡回しやすくなる。
- 足を腰幅に開いて立つ
- ゆっくりとかかとを上げ、つま先立ちになる
- ゆっくり下ろす
- 10〜20回を目安に
反動を使わず ゆっくり上下するほど血流UP効果が高い。
⑥ 手洗い+うがい
風邪ウイルスは“空気中”よりも、手についた状態で鼻や口を触ることで感染するケースが最も多い と言われています。
手洗いをするだけでウイルス量は大幅に減り、うがいは口の中に付着したウイルスを流す効果があります。とくに外出後や食事前は、感染を防ぐための“最初の防御”として非常に重要です。
手洗い・うがいのポイント
・外出後、食事前に必ず
・うがいは水か緑茶でOK
手首や指の間も忘れずに洗いましょう。
⑦ 室内の湿度を40〜60%に保つ
乾燥した空気ではウイルスが軽く、長時間空気中に漂いやすいため感染リスクが上がります。
さらに、乾燥すると喉や鼻の粘膜が弱くなり、ウイルスが入り込みやすくなります。湿度40〜60%を保つと、ウイルスの生存率が下がり、粘膜のバリア機能も保ちやすくなります。
室内を加湿する方法
- ぬれタオルを「振ってから干す」
- 観葉植物をひとつ置く
- 浅くて広い水皿を置く
- 入浴後、浴室の扉を少し開けておく
- 湯たんぽ×濡れタオルで「簡易スチーム」
湿度を上げすぎるとカビが増えるため、湿度40〜60% が免疫と衛生面の“黄金ゾーン”。湿度計があるとコントロールしやすいです。
⑧ 十分な睡眠
睡眠中に免疫細胞が回復・増加し、風邪を防ぐ力が高まります。
反対に、寝不足が続くと免疫細胞の働きが落ち、ちょっとしたウイルス量でも発症しやすい体になります。研究では、7時間以上眠れている人は、風邪の発症率が有意に低いことが示されています。
下記の記事では「科学的に認められた睡眠の質を高める方法」を10コ紹介しています。ストレッチと合わせて行えば睡眠の質がとても向上します!

寝つきを良くするストレッチ①太もも後面

太もも裏(ハムストリングス)がゆるむと副交感神経が働きやすくなり、寝つきが良くなる → 睡眠の質が上がる → 免疫力が高まる ため、風邪予防に役立ちます。
- 床に座り、両足を伸ばす
- 背すじを軽く伸ばしたまま、股関節から前に倒れる
- もも裏が心地よく伸びる位置で20〜30秒キープ
- 呼吸はゆっくり続ける
「深呼吸しながらゆっくり倒れる」と副交感神経がより働きやすくなります。
寝つきを良くするストレッチ②首のうしろ

首まわりの緊張がゆるむと、自律神経が落ち着き、寝つきが良くなります。質の高い睡眠は免疫細胞を回復させ、風邪をひきにくい体作りに直結。
- 楽な姿勢で座り、背すじを軽く伸ばす
- そのまま頭を前に倒す
- 首の後ろが気持ちよく伸びたところで20〜30秒キープ
- 肩の力は抜いたまま
手で頭を強く押さえず、自重だけで“やさしく”伸ばすのが安全で効果的。
⑨ ビタミンDを確保する
ビタミンDは免疫細胞のスイッチのような役割があり、ウイルスを攻撃する力を調整する栄養素です。
不足すると呼吸器系の感染にかかりやすくなることが多くの研究で報告されています。
- 日光を浴びる
- 鮭、卵、きのこなどから摂取する
などを特に冬は意識して補うと予防効果が高まります。
朝ウォーキングでビタミンDを活性化

朝日を浴びることで皮膚で ビタミンDが合成され、免疫細胞の働きが高まります。
さらに、朝の軽い運動は体温を上げ、血流を良くし、ウイルスと戦う力(免疫反応)をサポートしてくれます。朝散歩には自律神経を整える効果もあり、ストレスによる免疫低下も防ぐことができます。
- 朝起きて1〜2時間以内に外に出る
- 5〜15分ほど、日なたをゆっくり歩く
- できれば手や顔に日光が当たるようにする
- 冬や曇りの日でもOK(紫外線は届いている)
- 日焼けが気になる人は腕だけ日光に当てるだけでも効果あり
「短時間でも毎日」 がビタミンDを保つコツ。朝日を浴びると同時に体内時計も整い、質の良い睡眠につながり、さらに免疫力UPの相乗効果が期待できます。
⑩ 緑茶+水分補給
緑茶に含まれる「カテキン」には、ウイルスが細胞へ侵入するのを防ぐ作用があります。
さらに、水分をこまめにとることで喉の粘膜が潤い、乾燥によるバリア機能の低下を防ぐことができます。少しずつ飲むことで喉にウイルスがとどまりにくくなり、感染リスクが下がります。
緑茶+水分摂取のポイント
・温かい緑茶を一口ずつ
・白湯でこまめに喉を保湿
乾燥する前に飲むのがコツ。細目に水分補給をしましょう。
緑茶はガンの予防にも効果的。詳しくは下記の記事へ!

YouTubeで風邪予防エクササイズ!
文章だけでなく、実際に体を動かすことで効果はより高まります。私のYouTubeチャンネルでは、免疫力UPに役立つ軽い運動やストレッチを動画で紹介しています。
ぜひ動画を見ながら一緒に行ってみてください。
まとめ
風邪は「完全に防げるものではない」ですが、科学的に見れば 発症リスクを大きく下げることは可能 です。
特に、
- 軽い運動
- 鼻呼吸
- 肩甲骨の動き
- ヨガや筋トレ
といった“体を動かす習慣”は、免疫力を高める非常に強力な方法。生活習慣の中に少しずつ取り入れて、「風邪をひきにくい体」をつくっていきましょう。
参考文献
- Nieman, D. C. (1994). Exercise, upper respiratory tract infection, and the immune system. Medicine & Science in Sports & Exercise
- Matthews, C. E. et al. (2002). Influence of exercise on upper respiratory infection. American Journal of Medicine,
- Eccles, R. (2005). Understanding the symptoms of the common cold. The Lancet Infectious Diseases
- Moriyama, M. et al. (2020). Seasonality of respiratory viral infections
- Cohen, S. et al. (2009). Sleep habits and susceptibility to the common cold. Archives of Internal Medicine
- Aranow, C. (2011). Vitamin D and the immune system
- Martineau, A. R. et al. (2017). Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis
- Furushima, D. et al. (2018). Green tea catechins reduce influenza infection.
- Ai, Z. et al. (2016). Mechanical ventilation plan and indoor humidity
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC).


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