【この記事でわかること】
- 血流を「今すぐ」良くする科学的に認められた方法
- 冬の冷え・肩こり・だるさに即効性があるセルフケア
- 運動が苦手な人でも実践できる血流改善アプローチ
冬になると、
- 手足が冷たい
- 肩や首がこる
- 身体が重だるい
といった不調を感じる人が一気に増えます。
その大きな原因のひとつが 血流の低下 です。
寒さによって血管が収縮し、筋肉もこわばることで、血液が末端まで届きにくくなります。
この記事では、運動の専門家の視点から、科学的に認められており、かつ「即効性」が期待できる血流改善法を10個 厳選して紹介します。
すべて自宅ででき、特別な道具も不要です。「今すぐ血流を良くしたい」!という方必見です!
血流を良くする即効性のある方法10選【科学的根拠あり】
① その場足踏み・かかと上げ(カーフレイズ)
ふくらはぎの筋肉は、下半身にたまった血液を心臓へ押し戻す 「筋ポンプ」 の役割を担っています。
寒さや長時間の座位・立位が続くと、この筋ポンプがほとんど働かなくなり、血液が下肢に滞留しやすくなります。
足踏みやかかと上げを行うと、
- ふくらはぎの筋収縮
- 静脈の圧迫
- 静脈弁の開閉
が一気に起こり、下肢の静脈還流が即座に改善します。
その結果、全身の循環もスムーズになり、足先の冷えや重だるさが短時間で軽減されやすくなります。
その場足踏み
- 背すじを伸ばして立つ
- その場で足踏みをする
- 太ももを軽く持ち上げる意識で行う
- 腕は自然に振る
- 1〜3分を目安に続ける
「速くやる」必要はなく、一定のリズムで続けることが血流改善のポイントです。
寒い朝や、長時間座った後の“血流スイッチ”として最適です。
私のYouTubeチャンネルでは、「ホームウォーキング」と題して自宅で行るウォーキング動画を配信しています。脂肪燃焼や血圧改善にも効果的です!
かかと上げ(カーフレイズ)

- 足を腰幅に開いて立つ
- ゆっくりとかかとを持ち上げる
- つま先で体を支える
- ゆっくりとかかとを下ろす
- 10〜20回を目安に行う
動作は、
- 「上で止める」より
- 「上げる→下ろす」を丁寧に行う
ほうが血流促進効果は高まります。足先の冷えや、夕方の脚の重だるさを感じたときに特におすすめです。
② スクワット
スクワットでは太もも・お尻といった サイズの大きな筋肉 を同時に使います。
これらの大筋群が収縮すると、体は酸素と栄養を届けるために心拍出量を増やし、全身の血流量を一時的に引き上げます。
また、筋収縮と弛緩の繰り返しにより
- 動脈の血管内皮に「ずり応力」がかかる
- 血管拡張物質(一酸化窒素)が分泌されやすくなる
といった反応も起こり、血管自体が広がりやすい状態になります。
短時間でも「身体全体が温まる」感覚が出やすいのが特徴です。
スクワットのポイント

- 足を肩幅程度に開いて立つ
- 椅子に座るようにお尻を後ろへ引く
- 太ももが床と平行手前まで下ろす
- ゆっくり立ち上がる
- 10〜20回を1〜2セット行う
浅めでも太もも・お尻がしっかり使われれば、血流改善効果は十分に得られます。
動作中は息を止めず、下ろすときに吸い、立ち上がるときに吐く と、血圧の急上昇を防ぎながら安全に行えます。
下記の記事ではスクワットのより詳しい方法を紹介しています!

③ 足首まわし
足首は心臓から最も遠く、血流が滞りやすい部位です。
特に冬は寒さによって足首まわりの血管が収縮し、足先の冷えやむくみが起こりやすくなります。
足首をまわすことで
- 足関節周囲の血管・静脈が刺激される
- 関節包や靱帯の動きが改善する
- ふくらはぎへの血液の戻り(静脈還流)が促される
といった作用が起こり、下肢の血流がスムーズになります。
特に、手指を足指の間に入れて行う足首まわしは、足部全体を大きく動かせるため、関節のこわばり改善と血流促進を同時に狙える方法です。
足首パタパタのポイント

- 床に座り、片脚を反対の太ももに乗せる
- 手指を足指の間にしっかり入れる
- 足首を大きく円を描くように回す
- ゆっくり10回ほど回す
- 反対回しも10回行う
- 反対の足も同様に行う
速く回す必要はなく、足首の動きを感じながら行うことで血流改善効果が高まります。
また、手指を足指の間に入れることで
- 足指が自然に開く
- 足裏・足背の血管刺激が増える
- 冷えやすい末端部まで血流が届きやすくなる
というメリットがあります。
④ 強い緊張 → 脱力
筋肉を一時的に強く緊張させると、その部位の血管は圧迫され血流が一時的に減少します。
その後、力を一気に抜くことで 反応性充血 が起こり、血管が拡張して 通常以上の血液が一気に流れ込む 現象が生じます。
この反応は
- 血管の拡張能力
- 血管内皮機能
の評価にも使われるほど、確実に血流が増える生理反応です。
「力を入れること」よりも「脱力すること」が血流改善のカギになります。
強い緊張→脱力 のポイント

- 手・太もも・お尻などに力を入れる
- 3秒間、できる範囲でしっかり緊張
- 一気に力を抜いて脱力
- これを5〜10回繰り返す
力を入れ続ける必要はなく、短く・強く → すぐ抜く を意識することで、無理なく血流改善効果を引き出せます。
⑤ 手のグーパー
手を握る(グー)・緩める(パー)動作では、前腕の筋肉がリズミカルに収縮します。
これにより前腕の動脈・静脈が刺激され、手先への血流が即座に増加します。
また、この運動は、
- 筋収縮による局所循環改善
- 血管反応性の刺激
が起こりやすく、冷えやすい手指の血流改善に非常に向いています。
座ったまま、短時間で効果を出せる点も大きな利点です。
手のグーパー

- 両手を前に出す
- ギュッと握ってグーを作る
- 3秒キープ
- パッと開いてパーにする
- 10回前後繰り返す
グーパー運動を行うことで、前腕から指先までの血流が即座に改善します。
「強く握る → すぐ緩める」リズムを作ると、冷えやすい手先が温まりやすくなります。
下記の記事では、科学的に認められている「末端冷え性」を改善する方法を10コ紹介しています!

⑥ 噛む(ガム咀嚼)
咀嚼運動は、顎の筋肉だけでなく
- 脳
- 顔面
- 頸部
の血流を増加させることが知られています。
また、一定のリズムで噛む動作は自律神経に作用し、交感神経優位の状態を和らげる方向に働きます。
その結果、ストレスによる血管収縮が緩み、末梢血流が回復しやすい状態になります。
「動かずに血流を整えられる」珍しい方法です。
ガム咀嚼のポイント
- 無糖ガムを1枚用意する
- 左右バランスよく噛む
- 一定のリズムで噛み続ける
- 1〜3分を目安に行う
一定のリズムで噛むことで、自律神経が安定しやすくなります。
仕事中や外出先など、動けない場面でも血流を整えられる のが大きな利点です。
⑦ 入浴(ぬるめ〜中等度)
温熱刺激が加わると、皮膚や筋肉の血管は反射的に拡張します。
これにより
- 末梢血流の増加
- 血液の再分配
- 深部体温の上昇
が起こり、全身の循環が大きく改善します。
特に38〜40℃程度の入浴は、心臓や血管への負担を抑えながら血流を増やせるため、冬の血流改善法として最も再現性が高い方法です。
入浴のポイント
- 湯温は38〜40℃を目安にする
- 肩まで、またはみぞおち程度まで浸かる
- 10〜15分を目安に入浴
- 入浴中はリラックスして呼吸を整える
血流改善の目的では、「熱さ」よりも「心地よさ」 が重要です。
入浴後は急に冷えないよう、首・足首を冷やさない工夫 をすると、血流改善効果が持続しやすくなります。
⑧ 手技マッサージ
皮膚をやさしく刺激するだけでも、皮膚血管は反射的に拡張し、局所血流が増加します。これは「強い刺激でないと効かない」という誤解とは逆の反応です。
さらに、軽いマッサージは
- 筋緊張の緩和
- 自律神経の安定
にもつながり、血流低下の背景にある緊張状態そのものを改善します。
安全性が高く、誰でも取り入れやすい方法です。
ふくらはぎ セルフマッサージ

- 仰向けになり、片膝を立てる
- 両手でふくらはぎを包むように持つ
- 足首側から膝方向へ、やさしくさすり上げる
- 圧は「気持ちいい」と感じる程度
- 片脚30秒〜1分行い、反対側も同様に行う
強く刺激は必要はなく、“下から上へ流す”イメージでさするだけで十分です。
痛みを感じるほどの刺激は交感神経を高め、逆効果になることがあるため注意しましょう。
足の指 セルフマッサージ

- 手指で足指を1本ずつつまむ
- 足指を前後・左右にやさしく動かす
- 次に、指と指の間を軽く広げる
- 片足30秒〜1分を目安に行う
「温かくなる感覚」が出れば、しっかり血流が動いているサインです。
鎖骨 セルフマッサージ

- 手をグーにして鎖骨の下に当てる
- 鎖骨に沿って内側から外側へやさしくなぞる
- 肩や首に力が入らないよう注意
- 左右それぞれ20〜30秒行う
軽く触れる程度の刺激でも十分効果があり、呼吸を止めず、リラックスしながら行うことが血流改善のコツです。
⑨ 腹式呼吸
腹式呼吸の中でも、吐く息を長く・細く行う呼吸は、血流改善において非常に理にかなった方法です。
息を長く吐くと
- 迷走神経が刺激され、副交感神経が優位になる
- 交感神経による血管収縮がゆるむ
- 血管のトーン(緊張)が低下する
という反応が起こり、末梢血管が広がりやすい状態になります。
さらに、腹式呼吸では横隔膜が大きく上下に動くため、腹腔内圧と胸腔内圧が交互に変化し、静脈血が心臓へ戻る流れ(静脈還流)をサポートします。
腹式呼吸(長く吐く)|やり方

- 椅子に座る、または仰向けで楽な姿勢をとる
- 片手をお腹、もう一方を胸に当てる
- 鼻から軽く息を吸う(お腹がふくらむのを感じる)
- 口から細く、静かに息を吐く
- 吐く時間を吸う時間の2倍程度にする
- 1〜3分を目安に繰り返す
ポイントは がんばらずに、長く吐くこと。
吐く息が長くなるほど副交感神経が働き、血管がゆるみ、末端まで血液が流れやすくなります。
腹式呼吸はストレスが原因の息苦しさを改善する効果もあります。下記の記事では、科学的に認められている息苦しさを改善する方法を10コ紹介しています!

⑩ 硝酸塩の摂取(ビートルートジュースなど)
硝酸塩は体内で亜硝酸塩を経て 一酸化窒素(NO) に変換されます。
NOは血管内皮から分泌される 強力な血管拡張物質 です。
この作用により
- 血管が広がり
- 血流抵抗が下がり
- 血液が流れやすくなる
という変化が起こります。
運動が難しい状況でも血流改善を狙える、数少ない食事由来の即効性アプローチです。
硝酸塩を多く含む食品
硝酸塩は主に野菜に多く含まれており、以下の食品が代表的です。
- ビート(ビーツ)
- ほうれん草
- ルッコラ
- チンゲン菜・小松菜
- レタス
- セロリ
サプリよりも、食品由来の硝酸塩が安全性・継続性の面でおすすめです。
まとめ
血流は「体質だから仕方ないもの」ではなく、数分の行動で今すぐ変えられるものです。
- 冬の冷え
- 肩こり
- 身体のだるさ
の多くは血流低下が共通の原因。
今回紹介した10個の方法は、どれも科学的根拠があり、即効性が期待できます。
すべてをやる必要はありません。「これならできそう」と思うものを1つ、今日から取り入れてみてください。それだけでも、身体の温かさや軽さの変化を実感できるはずです。
参考文献
- Zaccaro, A. et al. (2018). How breath-control can change your life. Frontiers in Human Neuroscience.
- Padilla, J. et al. (2011). Exercise improves vascular function. American Journal of Physiology.
- Wray, D. W. et al. (2013). Reactive hyperemia and vascular function. Journal of Applied Physiology.
- Clifford, T. et al. (2015). Dietary nitrate and blood flow. Sports Medicine.


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