【この記事でわかること】
- 論文で効果が認められた「科学的に体力をつける方法」がわかる
- 運動・栄養・メンタルの3方向から体力アップをサポートする方法を学べる
- 特別な器具なしで、今日から始められる実践的アプローチが見つかる
最近、「体力が落ちたかも」と感じていませんか?階段で息が上がる、すぐ疲れる――そんな変化は誰にでも起こります。
でも、体力は年齢に関係なく取り戻せる力です。最新の研究では、日常の中のちょっとした行動でも体力が向上することが分かっています。
この記事では、科学的に効果が認められた体力をつける方法10選を紹介します。
今日からできる小さな習慣で、「疲れにくい自分」を取り戻しましょう。
科学的に認められた体力をつける方法10選

1. インターバル速歩(Interval Walking)

インターバル速歩は「速歩」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返すウォーキング法です。
速歩で心肺機能を、ゆっくり歩きで回復力を刺激し、両方のバランスを整えます。信州大学・能勢博教授の研究では、1回30分・週4日の継続で脚筋力と持久力が有意に向上。
インターバル速歩の方法
- 「速歩3分+ゆっくり歩き3分」を1セットとして交互に繰り返す。
- 速歩は大股で行う。
- ゆっくり歩きは次の速歩の準備の時間。体力回復に努める。
- 「ややきつい」と感じる速さを意識する
大股で歩くことで全身の筋肉も鍛えられます。
インターバル速歩のより詳しい方法は下記の記事で紹介しています!

2. 筋トレ+エキセントリックトレーニング
エキセントリックトレーニングとは、筋肉を「伸ばしながら」力を出すトレーニングです。
- スクワットでしゃがむとき(太ももの前が伸びる)
- 腕立て伏せで体を下ろすとき(胸が伸びながら負荷を受ける)
- ダンベルカールで腕を下ろすとき(力こぶが伸びながらブレーキをかける)
この「ブレーキをかけるような動き」がエキセントリック動作です。筋肉に大きな張力がかかるため、少ない回数・軽い負荷でも高い効果が得られるのが特徴です。
スクワットのエキセントリックトレーニング

ゆっくりとしゃがむ動作に重点を置きます。
- 足を肩幅に開き、背すじを伸ばす。
- 5秒かけてゆっくりしゃがみ、1〜2秒で立ち上がる。
- 太ももが床と平行になるくらいまで下げるのが目安。
お尻を下ろすとき(膝を曲げる時)に“ブレーキをかける感覚”を意識すると、大腿四頭筋(前もも)にしっかり刺激が入ります。
腕立て伏せのエキセントリックトレーニング

体を下ろす動作をゆっくり行うことで、胸・腕・体幹を効果的に鍛えます。
- 手を肩幅よりやや広めにつき、体を一直線に保つ。
- 5秒かけて胸を床に近づけ、1秒で押し上げる。
- 体を反らせず、首からかかとまで一直線をキープ。
膝つきで行ってもOK。動作中に“胸の筋肉が伸びる感覚”を意識しましょう。
パームカール(手のひら押し)でのエキセントリックトレーニング

ダンベルがなくてもできる上腕(二の腕の反対側)の筋トレです。
- 右手の手のひらを上に向け、左手で上から押さえる。
- 押さえる左手の抵抗に逆らいながら、右手をゆっくり下げる(5秒)。
- 交互に左右3〜5回ずつ行う。
力を抜かずに“押し返すように下げる”のがコツ。簡単ながら、上腕二頭筋のエキセントリック刺激がしっかり入ります。
3. 高強度インターバルトレーニング(HIIT)

高強度インターバルトレーニングとは、高強度の運動と休憩を短時間で繰り返すトレーニング法です。
短時間で心肺機能・筋代謝を高め、最大酸素摂取量(VO₂max)を効率的に改善します。複数の研究で、30分の有酸素運動と同等の体力向上効果が確認されています。
HIITの方法
- 20秒の全力運動(スクワットジャンプやバーピーなど)+10秒休憩
- これを8セット(約4分間)繰り返すタバタ式が代表的
- 週3〜4回で十分な効果あり
トレーニング後も脂肪燃焼が続く「アフターバーン効果(EPOC)」が得られます。
HIITはエアロバイクを使っても行えます。エアロバイクを使ったHIITの方法は下記の記事で紹介しています!

4. エクササイズスナック(Exercise Snacks)

エクササイズスナックとは、1〜2分の短い運動を1日数回に分けて行う新しいトレーニング習慣です。お菓子(スナック)を食べる感覚で日常に取り入れます。
エクササイズスナックは、短時間でも筋肉や心肺に“断続的な刺激”を与えることで、代謝と体力を持続的に向上させます。カナダ・マクマスター大学の研究では、1回1分×3回/日で心肺機能が改善したと報告されています。
エクササイズスナックの方法
- 朝・昼・夜にそれぞれ1〜2分間、階段昇降やスクワットを実施
- 「少し息が上がる」強度でOK
- デスクワーク中に立ち上がって10回スクワットするだけでも効果あり
“1回長く動くより、こまめに動く”ほうが体力維持に有効という研究もあります。
エクササイズスナックの詳しい方法は下記の記事で紹介しています!

5. バックスウォーキング(後ろ向き歩行)

バックスウォーキング(後ろ向き歩行)とは、後ろ向きに歩くことで、普段使わない下半身の筋肉を鍛える方法です。
バックスウォーキングは太もも裏(ハムストリングス)やふくらはぎ、体幹をバランスよく使うため、
下肢筋力と安定性を同時に高めることができます。また、脳の空間認識能力の刺激にもつながります。
バックスウォーキングのポイント
- 安全な場所で1回3〜5分、後ろ向きに歩く。
- 重心を軽く下げ、姿勢はまっすぐに保ち、つま先からそっと着地する。
- 後ろに踏み出す足をしっかり後ろに伸ばす。
膝への負担が少なく、リハビリでも使われる運動。高齢者の転倒予防にも効果的。
6. 温冷交代浴・冷水シャワー
温度差による刺激が血管の拡張・収縮を促し、血流循環と回復力を整えます。自律神経の働きがスムーズになり、疲れにくい体をサポートします。
温冷交代浴・冷水シャワーのポイント
「温水(3分)→冷水(30秒)」を3セット繰り返すのが基本。最後を冷水で終えると、覚醒効果が得られます。
就寝前より朝の入浴がおすすめ。気分のリセットにも◎。
寒中水泳は科学的にも健康に良いことが認められています。詳しくは下記の記事で!

7. 笑い・ポジティブ感情の活用
笑うことで副交感神経が整い、ストレスホルモン(コルチゾール)が低下。結果的に体の回復効率と活力レベルが上がります。
具体的な方法
1日5分でも“笑う時間”を意識的に作る。お笑い番組・友人との会話・ペットとの時間など、なんでもOK。
笑いによるNK細胞活性化効果は医療分野でも注目されています。
8. メンタルトレーニング(マインドセット)
「できる」という自己効力感が脳の前頭前野を活性化し、
- 運動継続
- 集中力
- 疲労耐性
のすべてを高めます。
メンタルトレーニングの方法
- トレーニング記録をつけ、「できたこと」を見返す
- 小さな成功体験を積み重ねることで、挑戦意欲が高まります。
「前向きな考え方」は筋肉を直接鍛えませんが、“継続できる脳”を育てます。
メンタルトレーニングは筋トレと組み合わせるとより効果的。詳しくは下記の記事で!

9. 炭水化物摂取によるグリコーゲン戦略
炭水化物の摂取によって筋肉内のグリコーゲンを十分に補うことで、運動時のエネルギー切れを防ぎ、持久力とパフォーマンスを維持できます。
たんぱく質摂取のポイント
- 運動前:体重1kgあたり2〜3gの炭水化物を摂取
- 長時間運動後:速やかに糖質を補給(例:おにぎり、バナナなど)
炭水化物不足は“動けない疲労”の原因。体力アップの土台はエネルギー補給から。
10. 炭水化物+タンパク質の同時摂取(栄養タイミング戦略)
炭水化物とたんぱく質を運動直後に同時に摂取することにより、筋修復とエネルギー再合成が最大化します。持久力トレーニング後にも効果的で、体力回復と向上の両方を促進。
炭水化物+たんぱく質同時摂取のポイント
- 運動後30〜60分以内に「炭水化物2〜3g+タンパク質0.3g/体重kg」を摂取
- 例:ご飯+鶏むね肉、またはバナナ+プロテインドリンク
“ゴールデンタイム”を逃さず栄養を摂ることで、体力づくりの効率が変わります。
「プロテインは腎臓に悪い」と言われていますが本当でしょうか?下記の記事ではプロテインが腎臓に与える影響や正しいプロテインの飲み方を紹介しています。プロテイン愛好者必見です!

動画で体力をつける!筋持久力トレーニング
筋持久力を高めるトレーニングは、「疲れにくい体」を作る上で重要です。私のYouTubeチャンネルでは、3〜5分で行える短時間の筋トレ動画を紹介しています。
スキマ時間に体を動かし、“動ける自分”を日常の中で作っていきましょう。
まとめ|体力は「積み重ね」と「継続」で変わる
体力をつけるには、ハードな運動よりも「少し頑張る行動」を続けることが鍵です。インターバル速歩やエクササイズスナックのように、日常に取り入れやすい方法を選び、自分のペースで継続しましょう。
運動・栄養・メンタルの3方向から刺激を与えることで、体の「エネルギー生産」「筋力」「集中力」が整い、確実に体力は向上します。
参考文献
- Noseda, H. et al. J Appl Physiol, 2020. Interval Walking and Aerobic Function.
- Douglas, J. et al. Front Sports Act Living, 2022. Eccentric Training Review.
- Weston, K. et al. Br J Sports Med, 2014. High-Intensity Interval Training Meta-analysis.
- Jenkins, E. et al. Eur Heart J, 2023. Exercise Snacks and Fitness.
- Zhang, Y. et al. Gait Posture, 2019. Backward Walking and Balance.
- Bleakley, C. et al. Eur J Appl Physiol, 2018. Contrast Water Therapy.
- Hayashi, T. et al. Complement Ther Med, 2020. Laughter Therapy and Fatigue.
- Bandura, A. Psychological Review, 1997. Self-efficacy Theory.
- Jeukendrup, A. Sports Med, 2017. Carbohydrate and Endurance Performance.
- Saunders, M. et al. Nutrients, 2018. Carbohydrate-Protein Co-ingestion and Recovery.


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