【この記事でわかること】
- 科学的に正しい脳疲労の回復方法
- 運動・睡眠・生活習慣を通して脳疲労を軽減する具体的な実践法
- 忙しいデスクワーク中心の人でも、今日から無理なく始められる脳疲労対策
- 「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」
- 「集中力が続かず、頭が重い感じがする」
- 「何もしていないのに、ずっと疲れている」
このような状態が続いている場合、身体ではなく「脳」が疲れている可能性があります。
脳疲労は、気合いや根性では回復しません。大切なのは、科学的に正しい方法で脳を回復させることです。
この記事では、30〜50代のデスクワーク中心で、ストレスや睡眠の質低下を感じている方に向けて、
科学的に認められている脳疲労の回復法を10個紹介します。
科学的に認められている脳疲労の回復法【10選】
中強度の有酸素運動(ウォーキングなど)
有酸素運動は脳血流を増加させ、酸素や栄養を脳にしっかり届けます。
さらに、脳の神経細胞の成長や修復を助けるBDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌が高まることが、多くの研究で確認されています。
これにより、集中力や判断力の回復、ストレス耐性の向上が期待できます。
中強度の有酸素運動のポイント

- ややきついと感じる程度
- 軽く汗ばむ程度
- 会話はできるが息が少し弾む程度
- 安静時心拍数+30~40拍
の強度で、20〜30分のウォーキングを週2〜3回を目安に行いましょう。通勤や買い物の一部を歩きに変えるだけでも効果があります。
中強度の有酸素運動は内臓脂肪を減らす効果も抜群です!詳しくは下記の記事へ!

軽い運動・ストレッチで座りっぱなしを防ぐ
長時間同じ姿勢で座り続けると、脳への血流が低下し、脳疲労が蓄積しやすくなります。
軽い運動やストレッチは、筋肉だけでなく脳への刺激となり、疲労感や頭の重さを軽減します。
背筋・体側ストレッチ

- 椅子、または床に背すじを伸ばして座る
- 両手を頭の上で組み、真上に伸びる
- 息を吐きながら、上体をゆっくり横に倒す
- 体側が心地よく伸びたところで 10〜15秒キープ
- 反対側も同様に行う
呼吸を止めず、吐く息に合わせて伸ばすと脳もリラックスしやすくなります。
また、背骨まわりを動かすことで、脳への血流改善が期待できます。
太もも後面(ハムストリングス)ストレッチ

- 床に座り、片脚を前に伸ばす(反対の脚は軽く曲げる)
- 背すじを伸ばしたまま、股関節から上体を前に倒す
- 太ももの裏が伸びる位置で 10〜20秒キープ
- 左右交互に行う
下半身の大きな筋肉を伸ばすことで、全身の血流が改善し、脳の疲労感軽減につながります。
肩まわし

- 両手をそれぞれの肩にのせる
- 肘で大きな円を描くように、前から後ろへゆっくり回す
- 5〜10回行ったら、後ろから前にも同様に回す
首・肩の緊張がゆるむと、頭の重さや集中力低下が軽減しやすくなります。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、注意資源を回復させ、前頭前野の過活動を抑えることが示されています。
思考や情報処理で酷使された脳を、一度リセットする効果があります。
マインドフルネス瞑想のポイント

- 椅子、または床に背すじを楽に伸ばして座る
- 肩や首の力を抜き、目を閉じるか半眼にする
- 自然な呼吸に意識を向ける
- 鼻やお腹の動きなど、「今の呼吸」を感じる
- 雑念が浮かんだら、否定せずに気づき、再び呼吸に意識を戻す
- 3〜5分を目安に行う(慣れたら10分程度)
短時間でも継続することで、脳の疲労回復効果が高まりやすい特長があります。
下記の記事は「科学的に認められた瞑想の方法」を紹介しています。正しい方法で瞑想の効果を感じましょう!

短時間の昼寝(15〜20分のパワーナップ)
短時間の昼寝は、脳の情報処理能力や集中力を回復させることが確認されています。
特に午後の眠気や判断力低下に対して有効です。
短時間の昼寝のポイント
- 昼食後〜15時までの時間帯に行う
- 横になる等、楽な姿勢をとる
- 15〜20分後に必ず起きられるようアラームを設定する
- 目を閉じ、深く眠ろうとせず、力を抜いて過ごす
- アラームが鳴ったら、すぐに体を起こす
「眠れなくてもOK」。目を閉じて休むだけでも脳は回復します。
起床後に軽く体を動かしたり、明るい光を浴びるとスッキリしやすくなります。
規則正しい睡眠リズム(毎日同じ時刻に寝起き)
脳は一定のリズムで休むことで、最も効率よく回復します。
寝る時間・起きる時間がバラバラだと、睡眠時間が足りていても脳疲労は残りやすくなります。
規則正しい睡眠リズムのポイント
- まず「起きる時刻」を決める(平日・休日共通)
- 就寝時刻は多少前後しても、起床時刻は固定する
- 朝起きたらすぐカーテンを開け、光を浴びる
- 休日の寝だめは、1時間以内にとどめる
睡眠時間よりも「リズム」が脳の回復に影響します。
夜眠れなかった日でも、起床時刻をずらさないことが重要です。
下記の記事では「科学的に認められた睡眠の質を高める方法」を10個紹介しています。自分に合った方法を見つけて、睡眠の質を高めましょう!

朝日を浴びる
朝日は体内時計をリセットし、脳を自然に覚醒させます。
これにより日中の集中力が高まり、夜の睡眠の質も向上します。
朝日を浴びる際のポイント

- 起床後、できるだけ早いタイミングでカーテンを開ける
- ベランダや窓際、外に出られる場合は屋外に出る
- 5〜10分程度、自然光を浴びる
- 曇りや雨の日でも、室内より屋外の光を意識する
- 朝日を浴びながら、軽く体を動かしたり深呼吸を行う
朝の光は体内時計をリセットし、脳を自然に目覚めさせます。
毎日同じ時間帯に浴びることで、睡眠リズムが安定しやすくなります。
デジタルデトックス
スマホやPCからの絶え間ない情報刺激は、脳を休ませる時間を奪います。
デジタル刺激を減らすことで、注意力と回復力が高まります。
デジタルデトックスのポイント
- 就寝前30分はスマホ・PCを見ない
- 食事中はスマホを手の届かない場所に置く
- 通知は必要最低限に絞る(仕事・家族関連のみ)
- 仕事の合間に「画面を見ない時間」を意識的につくる
- 休日に1日のうち1〜2時間はデジタル機器から離れる
通知のたびにスマホを操作すると脳は切り替えを強いられ、疲労がたまってしまいます。
デジタル刺激を減らすことで、集中力と回復力が高まりやすくなります。
アルコール摂取を控える(寝酒をしない)
アルコールは一時的にリラックス感や眠気をもたらしますが、脳の回復に必要な深い睡眠を妨げることがわかっています。
特に、
- 夜中に目が覚めやすくなる
- 睡眠の質が浅くなる
- 翌日に頭の重さや集中力低下が残る
といった影響が出やすく、「寝ているのに脳が休まっていない」状態を招きます。
アルコールを控える際のポイント
- 寝酒の代わりに、白湯やハーブティーを取り入れる
- 飲む場合は、就寝3時間前までを目安にする
- 毎日飲む習慣がある人は、「量を半分にする」から始める
- 休肝日を週に1〜2日つくる
アルコールは睡眠を助けるのではなく、睡眠を分断します。
アルコールは完全にやめる必要はなく、脳を休ませる日を増やす意識が大切です。
下記の記事では科学的に認められている「肝臓をケアする」方法を10コ紹介しています。お酒を飲むことが多い方必見です!

こまめな水分補給
脳は多くの水分を必要とする臓器で、わずかな脱水でも集中力や注意力が低下することが知られています。
特にデスクワーク中は喉の渇きに気づきにくく、気づかないうちに脳疲労を招きやすくなります。
水分補給のポイント
- 起床後にまずコップ1杯の水を飲む
- 日中は1〜2時間に1回を目安に水分をとる
- 一度にたくさん飲むより、少量をこまめにが基本
- 尿の色が濃い場合は、水分不足のサイン
水や白湯を基本にし、甘い飲料は控えめにしましょう。
また、カフェイン飲料は水分補給とは別枠で考える必要があります。
オメガ3脂肪酸の摂取(魚・ナッツ類など)
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA・ALA)は、脳細胞の膜を構成する重要な脂質です。
脳の情報伝達や炎症の調整に関与し、脳のコンディション維持に役立つことが報告されています。慢性的な脳疲労や集中力低下を感じやすい人にとって、意識して摂りたい栄養素です。
オメガ3脂肪酸摂取のポイント
- 青魚(サバ・イワシ・サンマなど)を週2〜3回
- 1食あたりは、切り身1枚・缶詰1/2〜1缶が目安
- 魚が苦手な場合は、植物性オメガ3(ALA)を含む食品を活用
サプリメントに頼りすぎず、まずは食品から取り入れましょう。
オメガ3脂肪酸は、脳を内側から支える栄養素です。日々の食事に少し意識を向けるだけでも、脳疲労対策につながります。
まとめ|脳の疲れは自力で解消できる
脳疲労は、「頑張りが足りない」せいではありません。現代の生活環境そのものが、脳を疲れやすくしています。だからこそ、科学的に正しい回復法を知り、上手に休ませることが大切です。
すべてを一度にやる必要はありません。今日できることを1つ選び、少しずつ生活に取り入れてみてください。
脳が回復すれば、仕事の効率も、気持ちの余裕も、自然と戻ってきます。
参考文献
- Basso, J. C., & Suzuki, W. A. (2017). The effects of acute exercise on mood, cognition, and brain-derived neurotrophic factor (BDNF)
- Walker, M. P. (2017). Why We Sleep: Unlocking the Power of Sleep and Dreams. Scribner.
- Killgore, W. D. S. (2010). Effects of sleep deprivation on cognition.
- Tang, Y. Y., Hölzel, B. K., & Posner, M. I. (2015). The neuroscience of mindfulness meditation.
- Lim, J., & Dinges, D. F. (2010). A meta-analysis of the impact of short-term sleep deprivation on cognitive variables.
- Cajochen, C., et al. (2005). Role of melatonin in the regulation of human circadian rhythms and sleep.
- Gómez-Pinilla, F. (2008). Brain foods: the effects of nutrients on brain function.
- Armstrong, L. E., et al. (2012). Mild dehydration affects mood in healthy young women.
- He, S., & McAuley, J. H. (2018). Digital overload, fatigue, and mental health.
- Mednick, S. C., et al. (2002). The restorative effect of naps on perceptual deterioration.


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