【この記事でわかること】
- ヨガで痩せる人・痩せない人の違い
- 研究で明らかになったヨガのダイエット効果
- 科学的に認められた「痩せるヨガ」のやり方と続け方
「ヨガってダイエットにいいの?」そんな疑問を持つ人は多いと思います。
実際、ヨガを始めて「体が軽くなった」「姿勢が良くなった」と感じる人がいる一方で、「体重がまったく変わらない」という人も少なくありません。
では、ヨガは本当に痩せるのか?そして、どうすればヨガで“痩せる体”をつくれるのか?
この記事では、最新の研究結果をもとに、ヨガのダイエット効果とそのメカニズム、そして科学的に正しい実践法を紹介します。
ヨガで痩せる人と痩せない人の違い|科学が教えるリアル
ヨガでも痩せられる。ただし“やり方次第”

科学的な研究からも、ヨガで痩せることは可能です。
実際、過体重や肥満の人を対象とした複数の研究では、ヨガを8〜12週間続けることで、
- 体重
- 体脂肪率
- ウエストサイズ
が有意に減少したと報告されています(Prev Med, 2016)。
ただし、ヨガはランニングや筋トレのようにカロリーを多く消費する運動ではありません。そのため、「週1回の軽いヨガ」では体重変化がほとんど見られないという研究もあります。
つまり、ヨガで痩せるかどうかは、
- ヨガのやり方
- 頻度
- 意識
次第です。
痩せる人と痩せない人の違い
研究や実践データをまとめると、両者の違いは次のように整理できます。
| 比較項目 | 痩せる人 | 痩せない人 |
|---|---|---|
| 継続頻度 | 週3回以上を習慣化 | 月数回・短期間で終了 |
| 呼吸 | 深く、ゆっくりと意識的に行う | 呼吸を止めがち/浅い呼吸 |
| ヨガの種類 | パワーヨガ・ヴィンヤサなど動きのあるタイプ | ゆったり系のみ(強度が低い) |
| 意識 | 呼吸・姿勢・心に注意を向ける | 体を動かすことだけが目的 |
| ストレス対処 | ヨガで心を整え、過食を防ぐ | ストレスで食べ過ぎてしまう |
科学が教える「痩せるヨガ」の本質

ヨガの“痩せる効果”は、消費カロリーよりも次の3つにあります。
- 呼吸によって脂肪代謝を高める
– 深い呼吸で酸素を多く取り込み、脂肪をエネルギーとして使いやすくする(J Physiol Sci, 2018)。 - ストレスを抑えて食べすぎを防ぐ
– ヨガはストレスホルモン(コルチゾール)を下げ、暴食を防ぐ(Front Psychol, 2022)。 - マインドフルネス(気づき)が行動を変える
– 「なんとなく食べる」行動が減り、自然に摂取カロリーが下がる(Appetite, 2021)。
つまり、ヨガで痩せる人は、「心と体を整えた結果、食べ過ぎなくなり、代謝が上がっていく」という、内側からの変化で体が変わるタイプなのです。
痩せるためのヨガ実践法(科学的根拠つき)
ヨガは「正しく行えば」確実に体を変える力を持っています。ここでは、研究で裏づけられた「痩せるヨガ」の具体的な方法を紹介します。
1. 強度を上げるなら「パワーヨガ」や「ヴィンヤサヨガ」
パワーヨガとは「筋トレとヨガを融合した、汗をかく“動くヨガ”」で、ヴィンヤサヨガとは「呼吸と動きをつなぐ、流れるような“リズムヨガのことを指します。
ヴィンヤサヨガやパワーヨガは、呼吸に合わせてポーズを流れるように行うスタイルです。
研究では、1回30〜45分のヴィンヤサヨガで最大心拍数の60〜70%に達することが報告されており、これは軽いジョギングに近い強度です(J Strength Cond Res, 2018)。
実践法
- 太陽礼拝を中心に、呼吸とともにテンポよく動く
- 動きを止めないヨガで心拍数を上げる
- 1回30分以上を目安に、週3回以上
- 終わりにはクールダウンのポーズ(シャヴァーサナなど)で自律神経を整える
ヴィンヤサヨガは“動く瞑想”とも呼ばれ、脂肪燃焼だけでなく集中力・ストレス耐性も向上します。
太陽礼拝は動脈硬化を改善する効果も認められています。下記の記事では太陽礼拝が動脈硬化の改善に効果的な理由と太陽礼拝のやり方を紹介しています。

2. 頻度は「週3回以上」で代謝リズムを整える
研究では、週3回・8週間以上ヨガを継続することで体脂肪率が減少し、血糖値やコレステロールにも良い変化が見られました(Int J Behav Nutr Phys Act, 2016)。
実践法
- 短時間でも「週3回以上」を目標に
- 20分×3回でも、1時間×1回より効果的
- 朝行うと自律神経が整い、1日の代謝スイッチが入りやすい
「ヨガは少しずつでも続ける」が鉄則。1回ごとの完璧さより“継続力”が脂肪を減らします。
3. 食事習慣を整える「マインドフルイーティング」
ヨガを実践している人は、非実践者よりも食事コントロール力が高い傾向があります(Appetite, 2021)。
これは「今の自分の状態に気づく力(マインドフルネス)」が高まり、「満腹なのに食べる」行動が減るためです。
食べる“量”ではなく、“意識”を変えることがポイントです。
実践法
- 食事中はスマホやテレビをオフ
- 一口ごとに「味」「香り」「食感」を感じる
- 早食いを避け、よく噛む
“マインドフルに食べる(いま、この瞬間の“食べる体験”に意識を向けながら食事をする)と、実際の摂取カロリーが1食あたり約10〜15%減るという報告もあります。
4. 呼吸法を組み合わせる(脂肪代謝を高める)
深い呼吸を行うことで、酸素摂取量が増え、脂肪をエネルギーとして使う効率が上がります。深呼吸は脂肪を燃やすスイッチです。
特に「腹式呼吸+ゆっくり吐く呼吸」は、脂肪分解酵素リパーゼの働きを促進します(J Physiol Sci, 2018)。
呼吸法と組み合わせたキャット&カウ(Cat & Cow)

- 四つん這いになる(手は肩の下、膝は腰の下)
- 息を吸いながら背中を反らせ、胸を開いて目線を上へ(カウ)
- 息を吐きながら背中を丸め、顎を軽く引く(キャット)
- この動きを呼吸に合わせて5〜10回ゆっくり繰り返す
呼吸は「4秒吸って6秒吐く」リズムで。動きよりも呼吸を深くする意識を大切にしましょう。
キャット&カウは背骨を柔軟に動かしながら呼吸を深めることで、内臓の血流を促進し、脂肪代謝を高める効果があります。特に「吐く呼吸」を意識すると副交感神経が働き、ストレスによる食べすぎやホルモンバランスの乱れも整います。
5. 筋肉を使うポーズで“基礎代謝”を上げる
筋肉量が増えると、安静時でも消費カロリーが上がります。ヨガの中でも、
- プランク
- ウォーリア
- チェアポーズ
は大筋群を使う代表的なポーズです。特に下半身を使うポーズは、代謝を上げるのに効果的です。
プランク(板のポーズ)

全身の筋肉をバランスよく使うポーズ。腕・お腹・背中を同時に鍛え、体幹を安定させます。
- 肘とつま先で体を一直線にキープ
- お尻が上がりすぎないよう注意
- 20〜30秒キープ×2〜3セット
お腹を引き込み、「体で一直線を描く」意識で行う。
戦士のポーズⅡ(WarriorⅡ)

下半身・体幹・肩周りを一度に使う、パワフルなポーズ。脚を広げて腰を落とすことで、太ももとお尻を集中的に刺激します。
- 両足を広げ、片足を90度外に向ける
- 前の膝を曲げ、両腕を左右に広げる
- 目線は前の指先へ、20〜30秒キープ
後ろ足で地面を押すと、体幹の安定が増して脂肪燃焼効果UP。
椅子のポーズ(Chair Pose/ウトゥカタ・アーサナ)

太もも・お尻・背筋を強化するポーズ。「脚の筋肉で支える」感覚をつかむことで、脚の引き締めにも◎。
- 足を腰幅に開き、椅子に座るように腰を落とす
- 背筋を伸ばし、腕を頭上に伸ばす
- 15〜30秒キープ
膝がつま先より前に出ないようにし、呼吸を止めない。
6. ストレス管理としてのヨガ(過食抑制効果)
ストレスを感じると、食欲ホルモン(グレリン)が増加し、つい食べすぎてしまいます。
ヨガや瞑想はストレスホルモン(コルチゾール)を下げ、「食べたいけど我慢できない」という衝動を抑えやすくします(Front Psychol, 2022)。
実践法
- 寝る前に3分間の呼吸瞑想
- “吸う息”より“吐く息”を長く意識
- 「今の気分」「体の感覚」に意識を向ける
瞑想を1日5分続けるだけで、ストレスホルモンが約20%低下するという研究もあります。
下記の記事では科学的に認められた「瞑想のやり方」を紹介しています。

まとめ|ヨガは「心と体を整えて痩せる」習慣
ヨガはカロリーを消費するだけでなく、呼吸・ストレス・意識のコントロールを通じて太りにくい体を作る運動です。
ポイントは次の3つ
- 呼吸を深め、代謝を高める
- 週3回以上続ける
- 食事・ストレスも整える
「痩せるヨガ」は、“頑張る運動”ではなく、“整える習慣”がポイント。焦らず、呼吸とともに体を変えていきましょう。
参考文献
- Cramer H. et al., Prev Med, 2016. Effects of yoga on weight-related outcomes.
- Lauche R. et al., Int J Behav Nutr Phys Act, 2016. Yoga for overweight and obesity.
- Park S. et al., J Physiol Sci, 2018. Deep breathing and fat metabolism.
- Kim D. et al., Appetite, 2021. Yoga and mindful eating.
- Nivethitha L. et al., Front Psychol, 2022. Stress reduction through yoga practice.


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