【この記事でわかること】
- 寝ても疲れが取れない本当の理由
- 科学的に認められている回復力を高める方法
- 30代以降でも無理なく続けられる実践ポイント
30代を過ぎると、
- しっかり寝ているはずなのに疲れが残る
- 朝からだるさが抜けない
と感じる人が増えてきます。
この状態は、単なる睡眠不足だけが原因ではありません。
- 睡眠のリズム
- 自律神経の切り替え
- 日中の過ごし方
- 回復に必要な栄養がうまく噛み合っていない
と、「寝ているのに回復できない」状態が起こります。
つまり「眠れている」と「回復している」は別物です。
この記事では、根性論や流行りの健康法ではなく、科学的に妥当とされている「寝ても疲れが取れない状態を改善する方法」を10個、わかりやすく紹介します。


科学的に認められている寝ても疲れが取れないを解消する方法10選
① 起床時刻を毎日そろえる(休日も含む)
体内時計(概日リズム)は、起床時刻を最も強い手がかりとして調整されます。
起床時刻が安定すると、夜のメラトニン分泌や深部体温の低下がスムーズになり、深い睡眠(回復に重要な徐波睡眠)が出やすくなります。
結果として、睡眠時間が同じでも回復感に差が出ます。
起床時刻を揃えるポイント
- 平日・休日ともに起床時刻をできるだけそろえる
- 休日でも±1時間以内に抑える
- 眠気が強い場合は昼寝で調整(後述)
「早く寝よう」より、まず起きる時間を固定する方が回復感は改善しやすいです。
② 寝る90分前の入浴
睡眠中の回復を高めるには、入眠前後に深部体温が下がることが重要です。
入浴によって一時的に体温を上げると、その後の体温低下が強調され、入眠がスムーズになり、睡眠の質が向上します。
この体温リズムは、疲労回復ホルモンの分泌とも関係しています。
入浴のポイント
- 就寝90分前を目安に湯船につかる
- 38〜40℃程度で10〜15分
- 熱すぎるお湯は避ける
「眠くなるまで待つ」のではなく、体温の下がり始めを作る意識が大切です。
③ 就寝前の軽いストレッチ
就寝前まで筋肉や神経が緊張していると、睡眠中も体は完全に休めません。
軽いストレッチは、筋緊張を下げるだけでなく、副交感神経を優位にして回復モードへ切り替える役割を果たします。
これにより、寝つきだけでなく「寝たあとの回復感」も高まりやすくなります。
足の裏ストレッチ

- 足の指の腹を床につけ、足指を軽く反らす
- ゆっくりお尻をかかとに近づける
- 足の裏が伸びているのを感じながらキープ
- 20〜30秒 × 1〜2回
足裏は自律神経と関係が深く、刺激すると全身の緊張が抜けやすくなります。
強く反らしすぎず、「気持ちいい」範囲で行いましょう。
ふくらはぎストレッチ

- 壁の前に立ち、両手を肩の高さで壁につく
- 片脚を一歩後ろに引き、かかとを床につける
- 前脚の膝を軽く曲げ、体重を前に移す
- 後ろ脚のふくらはぎが伸びているのを感じる
- 左右それぞれ20〜30秒 × 1〜2回
かかとが浮かないようにすると、ふくらはぎがじんわり緩みやすくなります。就寝前は反動を使わず、「伸ばす」より「ゆるめる」意識で行いましょう。
太もも後面(ハムストリングス)ストレッチ

- 床に座り、両脚を前に伸ばす
- 股関節から上体をゆっくり前に倒す
- 太ももの裏が伸びる位置で止める
- 首・肩の力を抜いて呼吸を続ける
- 20〜30秒 × 1〜2回
背中を丸めず、「骨盤から前に倒す」意識がポイントです。太もも裏がゆるむと、腰や背中の緊張も抜けやすくなります。
④ 日中に適度な有酸素運動を行う
日中の運動は睡眠圧(眠くなる力)を高め、夜に深い睡眠を引き出します。
さらに血流改善や自律神経の安定を通じて、睡眠中の修復・回復プロセスが働きやすい状態を作ります。適度な運動は、疲労の原因ではなく回復力を高める要素です。
ジョギング(有酸素運動)のポイント

- 会話が少しできるくらいのペース
- 息が切れすぎない強度を意識する
- 時間は20〜30分程度
- 週2〜4回を目安に行う
- 朝〜夕方までに終える(就寝直前は避ける)
ジョギングは「体力を削る運動」ではなく、睡眠の質と回復力を高めるための刺激として位置づけましょう。
翌日に疲れが残る場合は、ペースや時間を下げるのが正解です。
⑤ 休日の寝だめを避ける
休日に長く寝すぎると体内時計が後ろにずれ、平日とのズレ(ソーシャルジェットラグ)が生じます。このズレは、睡眠の質低下や日中のだるさにつながり、「寝たのに疲れが残る」状態を慢性化させます。
回復には睡眠量よりリズムの安定が重要です。
寝だめを防ぐポイント
- 休日も起床時刻は平日と近づける
- 強い眠気は昼寝で補う
回復の基本は「量」よりリズムの安定です。
⑥ 十分なタンパク質を摂取する
睡眠中には、
- 筋肉や組織の修復
- ホルモン・神経伝達物質
の再合成が行われます。
タンパク質が不足していると、この修復が十分に進まず、睡眠をとっても体が回復しにくくなります。特に30代以降は回復効率が下がるため、材料の確保が重要になります。
タンパク質摂取のポイント

- 毎食、「手のひら1枚分」を目安に(例」鶏むね肉1枚、豆腐半丁など)
- 特に朝・昼で意識する
- 肉・魚・卵・大豆製品を活用
疲れやすい人ほど、「回復の材料不足」が起きていることが多いです。
⑦ ビタミンB群の不足を防ぐ
ビタミンB群は、
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
をエネルギーに変える過程に不可欠です。
ビタミンB群が不足すると、睡眠で体を休めてもエネルギーの再生が追いつかず、だるさが残ります。「寝ても疲れが取れない」は、代謝レベルの問題が隠れていることもあります。
ビタミンB群摂取のポイント

- 主食・主菜・副菜をそろえる
- 炭水化物だけの食事を避ける
- 豚肉・魚・豆類・野菜を意識
「寝てもだるい」は、エネルギーが作れていないサインの可能性があります。
⑧ 就寝前のアルコールを控える
アルコールは入眠を早める一方で、深い睡眠やREM睡眠を減少させます。その結果、睡眠の構造が乱れ、脳と体の回復が不十分なまま朝を迎えることになります。
睡眠時間が足りていても疲労感が残る典型的な原因です。
アルコール摂取を控えるポイント
- 就寝直前の飲酒を避ける
- 量を減らす・休肝日を作る
「眠れる」と「回復できる」は別だと考えましょう。
⑨ セルフマッサージ
セルフマッサージは筋緊張を下げ、皮膚刺激を通じて副交感神経を活性化します。これにより、ストレス反応が抑えられ、主観的な疲労感や入眠のしやすさが改善します。
根本治療ではありませんが、回復を妨げる要因を減らす役割があります。
鎖骨セルフマッサージ

- 楽な座位または立位になる
- 片手をグーにして、反対側の鎖骨の下にあてる
- 鎖骨に沿って、外側に向かってやさしくほぐす
- 押すというより「なでる・ゆるめる」感覚で行う
- 左右それぞれ30秒〜1分
鎖骨周辺はリンパや血管、自律神経が集まりやすい部位です。ここをゆるめることで、上半身の緊張が抜け、呼吸も深くなりやすくなります。
側頭部セルフマッサージ

- 両手を側頭部に当てる
- 親指以外の4本の指で頭皮を包むように触れる
- 頭皮を軽く動かすイメージで、小さく円を描く
- 強く押さず、皮膚をずらす程度でOK
- 呼吸に合わせて30秒〜1分
側頭部はストレスや緊張の影響を受けやすい場所です。考えごとが多く頭が休まらない人ほど効果を感じやすいマッサージです。
ふくらはぎセルフマッサージ

- 仰向けまたは楽な姿勢で行う
- 片方のふくらはぎを左右反対の膝の上にのせる
- 足首から膝方向へ、やさしくさすり上げる
- 押しつぶすのではなく、流すイメージで行う
- 左右それぞれ30秒〜1分
ふくらはぎは下半身の血流に大きく関わる部位です。就寝前にほぐすことで、全身が温まり、寝つきが良くなりやすくなります。
⑩ 朝に太陽光を浴びる
朝の明るい光は体内時計をリセットし、夜のメラトニン分泌を正常化します。その結果、夜に深い睡眠が出やすくなり、睡眠による回復効果が最大化されます。
朝の光は、1日の回復リズムを作る起点です。
太陽光を浴びるポイント
- 起床後30分以内に明るい光を浴びる
- 晴天でなくてもOK
- 室内より屋外が理想
朝の光は、1日の回復リズムを作る起点です。
こんな症状がある場合は医療機関へ
「寝ても疲れが取れない」状態が続く場合でも、多くは生活習慣の見直しで改善が期待できます。
ただし、以下のような症状がある場合は、自己判断せず医療機関へ相談することが大切です。
- 日中の強い眠気が続き、仕事や日常生活に支障が出ている
- 朝起きたときの疲労感が強く、改善の兆しがない
- 動悸・息切れ・めまい・ふらつきがある
- 貧血を指摘されたことがある、または疑いがある
- いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
- 十分な睡眠時間を確保しても疲労感が改善しない
これらは、睡眠時無呼吸症候群、貧血、甲状腺疾患、うつ状態などが関係している可能性もあります。
不安がある場合は、内科や睡眠外来などの専門医に相談しましょう。
まとめ
寝ても疲れが取れない原因は、単なる睡眠不足だけではありません。睡眠のリズム・日中の過ごし方・栄養・自律神経の状態がうまくかみ合っていないことで、回復が追いつかなくなります。
大切なのは、
- 一気に生活を変えようとしないこと
- 科学的に妥当な方法を選ぶこと
- できそうなことを一つずつ続けること
です。
「眠っているのに回復できない」状態から抜け出すために、まずは今日できそうな対策を一つ、取り入れてみてください。
参考文献
- Walker MP et al. Sleep and human health(2017)
- Hirshkowitz M et al. National Sleep Foundation sleep duration recommendations(2015)
- Buysse DJ et al. Sleep health: can we define it?(2014)
- Kredlow MA et al. The effects of physical activity on sleep(2015)
- St-Onge MP et al. Sleep and nutrition(2016)
- Irwin MR et al. Sleep disturbance and inflammation(2016)
- Lehrer PM et al. Slow breathing and autonomic regulation(2003)




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