ヒートショックとは?原因と防ぐ方法を科学的に解説|入浴・トイレでできる対策10選

【この記事で分かること】

  • ヒートショックが起こる仕組みをやさしく理解できる
  • 科学的に認められているヒートショック予防法がわかる
  • 入浴だけでなくトイレで気をつけるポイントも学べる

私は医療系運動指導士として病院やスポーツジムで活動しています。

冬になると耳にする「ヒートショック」。

ニュースでは高齢者の事故として取り上げられることが多いですが、実は 中高年世代や持病のある人にとっても身近なリスク です。

ヒートショックは、

  • 寒い場所から急に暖かい場所へ移動する
  • 熱いお湯に急に入る

といった 急激な温度変化 が引き金となり、血圧が大きく変動することで起こります。

この記事では、ヒートショックの仕組みを理解して、日常生活でヒートショックを防ぐ方法を科学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

目次

ヒートショックとは?なぜ冬に起こりやすいのか

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、心臓や脳に強い負担がかかる現象の総称です。

たとえば冬場に、

  • 暖かいリビング → 寒い脱衣所
  • 寒い浴室 → 熱いお湯
  • 湯船 → 冷えた脱衣所

といった移動をすると、血管が急に縮んだり広がったりします。

このとき血圧が

  • 急上昇
  • 急低下

を繰り返すことで、失神、不整脈、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。

特に冬は、家の中の温度差が大きくなりやすいため、ヒートショックが起こりやすい季節なのです。

あなたは大丈夫?ヒートショックリスクチェック

ヒートショック リスクチェック(目安)

当てはまる項目にチェックを入れて、[診断]を押してください。

年齢・体の状態

入浴習慣

住環境

生活習慣・トイレ

当てはまる項目が多いほど、ヒートショックを防ぐための準備や環境づくりが特に重要になります。

ヒートショックのリスクが高い方は「心不全」のリスクも高い可能性があります。下記の記事ではヨガで心不全を未然に防ぐ方法を紹介しています!

あわせて読みたい
9割が知らない!心不全はヨガで予防できる 心臓の健康を保つヨガのポーズ7選 心不全はヨガで予防できます。 心不全は心筋梗塞や心臓弁膜症などの心臓病によって、心臓の機能が低下した状態です。心筋梗塞などの心臓病は運動で予防することができま...

科学的に認められているヒートショック予防法10選

① 脱衣所・浴室・トイレを事前に暖める

ヒートショックの最大の原因は「急激な寒暖差」です。

寒い場所に入ると、体は熱を逃がさないように血管を急激に収縮させ、その結果、血圧が一気に上昇します。
この反応が心臓や脳に大きな負担をかけます。

  • 脱衣所
  • 浴室
  • トイレ

を事前に暖めておくことで、寒暖差そのものを小さくでき、血圧の急上昇を防ぐことができます

脱衣所・浴室・トイレを事前に暖めておくことは、多くのガイドラインで最重要対策とされています。

事前に暖める際のポイント

  • 入浴前に浴室暖房を入れる
  • 脱衣所やトイレに小型ヒーターを設置する
  • ドアを閉めきらず、暖気を逃がさない

「寒くない」と感じる環境づくりが目安です。暖房は入浴やトイレに入る5〜10分前から使いましょう。

② 体調不良時は入浴・長時間のトイレを控える

体調が悪いときは、自律神経の調整機能が低下しています。

その状態で入浴や寒冷刺激を受けると、血圧や心拍が急変しやすくなり、ヒートショックのリスクが高まります。

特に、

  • 発熱
  • 強い疲労
  • 睡眠不足

の時は注意が必要です。

体調不良時のポイント

  • 体調が優れない日は入浴を短時間にする
  • 無理せずシャワーで済ませる
  • 長時間トイレにこもらない

「今日はやめておく」という判断も、立派なヒートショック予防です。

③ お湯の温度は41℃以下にする

42℃以上の高温浴では、入浴中に血圧が大きく低下しやすくなります。この急激な血圧低下は、

  • 失神
  • 転倒
  • 心血管イベント

のリスクを高めます。

41℃以下にすることで、体を温めつつ、血圧変動を穏やかに保つことができます

入浴のポイント

  • 給湯器の設定温度を40〜41℃に固定する
  • 熱いと感じたら水を足す

「ぬるい」と感じても、数分で体はしっかり温まります。

④ かけ湯をしてから湯船に入る

いきなり湯船に入ると、体表の血管が急激に拡張し、血圧が急低下しやすくなります。

かけ湯を行うことで、体を段階的に温めることができ、血圧変動を緩やかにできます。

かけ湯のポイント

  • 足先から順にかけ湯を行う
  • 脚 → お腹 → 胸の順に広げる
  • 最後に肩や背中

心臓から遠い部位から行うのが基本です。

⑤ 浴槽・便座から立ち上がるときはゆっくり動く

急に立ち上がると、重力の影響で血液が下半身に集まり、血圧が一気に低下します。

これを「起立性低血圧」と呼びます。

入浴後やトイレ後は特に起こりやすいため、動作をゆっくり行うことが重要です。

起立性低血圧を防ぐポイント

  • 立ち上がる前に一呼吸置く
  • 手すりや壁に手を添える
  • 段階的に姿勢を変える

「ゆっくり」が最も効果的な対策です。

⑥ 浴後すぐに冷えないよう保温する

入浴後に体が急に冷えると、血管が再び強く収縮し、血圧が急上昇します。

この「温→冷」の急変を防ぐことで、血管への負担を減らせます。

入浴後のポイント

  • すぐに衣類を着る
  • バスローブや羽織ものを使う
  • 脱衣所を暖かく保つ

首・腰・足首を冷やさない意識が大切です。

⑦ 血圧管理を日常的に行う

高血圧はヒートショックの最大の危険因子です。

血圧が高い状態では、寒暖差による変動がより大きくなります。

日常的に血圧を把握することで、リスクの高い日を避ける判断ができます。

血圧管理のポイント

  • 家庭用血圧計で測定
  • 朝・夜の決まった時間に行う

数値より「変動の大きさ」に注目しましょう。

血圧を安定させるにはストレッチが効果的。下記の記事では血圧を安定させるストレッチを紹介しています。

あわせて読みたい
薬だけに頼らない!血圧を下げる5つのストレッチと毎日続けるコツ 【この記事でわかること】 ストレッチが血圧に与える良い影響とは? 血管と筋肉の関係(柔軟性が血圧に影響する理由) 高血圧の方でも安全にできるストレッチメニュー ...

⑧ 入浴前にコップ1杯の水を飲む

脱水状態では血液が濃くなり、血圧変動が起こりやすくなります。

入浴前に水分を補給することで、循環血液量を保ち、血圧の急変を抑えます。

水分補給のポイント

  • 常温の水や白湯を飲む
  • 入浴直前〜少し前に摂取

冷たい水は避けると安心です。

⑨ トイレでは強くいきまず、呼吸を止めない

強くいきむ動作は、腹圧を急激に高め、血圧を上昇させます。

特に寒いトイレではリスクが高まります。

排泄時のポイント

  • 息を止めず、ゆっくり吐く
  • 長時間座り続けない

「出ないときは無理をしない」ことも大切です。

⑩ 夜間・早朝の入浴やトイレは特に注意する

夜間・早朝は自律神経が不安定で、血圧が変動しやすい時間帯です。

そこに寒暖差が加わると、ヒートショックのリスクが高まります。

夜間・早朝の入浴とトイレのポイント

  • 深夜の入浴は避ける
  • 夜間トイレでは暖房・照明を使用

眠気が残っていると転倒リスクも高まります。

血圧を整えることもヒートショック対策|動画でできるエクササイズ紹介

私のYouTubeチャンネルでは、無理なく続けられる「高血圧対策!血圧改善エクササイズ」 を紹介しています。

激しい動きは行わず、呼吸を止めないことを重視した内容なので、運動が苦手な方でも取り組みやすいエクササイズです。

入浴とは別の時間帯に、ヒートショック対策のひとつとして活用してみてください。

まとめ|ヒートショックは「知って備える」ことで防げる

ヒートショックは、冬の入浴中やトイレで突然起こることがあり、決して他人事ではありません。

しかしその一方で、

  • 脱衣所・浴室・トイレの寒暖差を減らす
  • お湯の温度や入浴方法を工夫する
  • 急な動作を避ける
  • 血圧を日常的に整える

といった対策を行うことで、リスクを大きく下げることができる現象でもあります。

すべてを一度に完璧に行う必要はありません。まずは「今日からできること」をひとつ選び、少しずつ生活に取り入れてみてください。

参考文献

  • 厚生労働省:冬季に多発する入浴中の事故に関する注意喚起
  • 消費者庁:高齢者の入浴中事故防止に関する情報
  • 日本循環器学会:高血圧治療ガイドライン
  • 日本救急医学会:入浴関連急死の疫学的研究
  • 住宅環境と健康影響に関する研究報告
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ご覧頂きありがとうございます。
スポーツインストラクター|健康運動指導士|心臓リハビリテーション指導士|ヨガインストインストラクター|スポーツジム・病院勤務|読書好き|漫画も好き|名言が好き|運動・健康について情報発信|YouTubeでトレーニング動画配信中

コメント

コメントする

目次