【この記事でわかること】
- 自己肯定感とは何か(よくある誤解)
- 科学的に認められている自己肯定感の高め方
- 頑張らなくても自己肯定感が下がりにくくなる考え方
- 「自己肯定感が低い気がする」
- 「自分に自信が持てない」
- 「頑張って前向きになろうとしても続かない」
このように感じている人は、とても多いです。ですが、自己肯定感は気合や性格の問題ではありません。
近年の心理学・神経科学の研究では、自己肯定感は「考え方」だけで決まるものではなく、
- 身体
- 神経
- 行動
- 感情
と深く関係していることがわかっています。
この記事では、無理にポジティブにならなくても、自然に自己肯定感を高める方法を、科学的根拠とともにわかりやすく紹介します。
自己肯定感とは?

自己肯定感とは、「うまくいっていない自分も含めて、自分の存在を認められている感覚」のことを指します。
よくある誤解として、
- 自己肯定感が高い=自信満々
- 自己肯定感が高い=いつも前向き
- 自己肯定感が低い=ダメな人
と考えられがちですが、これは正確ではありません。
科学的には、自己肯定感は成果や他人の評価に左右されにくい、安定した自己評価の土台と捉えられています。
なぜ「頑張って高めよう」とすると続かないのか
自己肯定感を高めようとして、
- 「もっと自分を好きにならなきゃ」
- 「ポジティブに考えなきゃ」
と頑張った経験はありませんか。実は、これが続かないのは自然なことです。自己肯定感は「感情」ではなく、その人の神経の状態や心身のコンディションに大きく左右されます。
疲れているとき、ストレスが強いとき、睡眠が足りないときは、誰でも自己評価はネガティブに傾きやすくなります。
つまり、自己肯定感が下がるのは「意志が弱いから」ではなく、身体や神経が防御モードに入っているだけなのです。だからこそ、考え方だけを無理に変えようとすると、長続きしません。
下記の記事では科学的に認められている疲れをとる方法を10コ紹介しています。自己肯定感を高めるためにも疲労回復は大事。是非参考にして下さい。

科学的に認められている自己肯定感を高める方法【10選】
① 筋力トレーニング
筋トレは、自己肯定感と強く関連する自己効力感(自分は行動できるという感覚)を高めます。研究では、筋力トレーニングによって抑うつ感や不安が軽減し、自己評価が安定することが示されています。
重要なのは見た目の変化ではなく、
- 決めた行動を実行できた
- やり切った
という行動の事実が、自分への信頼感を積み重ねる点です。
スクワット

- 足を肩幅程度に開いて立つ
- 椅子に座るように、ゆっくりお尻を後ろへ引く
- 太ももが床と平行になる手前まで下げたら、元の姿勢に戻る
- 5〜10回を目安に行う
深くしゃがむ必要はありません。回数も大事ですが、繰り返し行った事実を大切にしましょう。
腕立て伏せ(プッシュアップ)

- 難しければ膝をついて行う
- 手は肩の少し外側に置く
- 肘を曲げながら、体をゆっくり下ろす
- 無理のないところまで下げたら、押し戻す
- 3〜8回程度
「自分は支えられる」という感覚を体で覚えましょう。
カーフレイズ

- 壁や椅子に軽く手を添えて立つ
- かかとをゆっくり持ち上げる
- 余裕があれば、かかとを上げたまま一瞬キープ
- ゆっくり下ろす
- 10回前後繰り返し行う
「続けられたこと」を肯定しましょう。
② 有酸素運動(ウォーキングなど)
有酸素運動は、気分を改善する神経伝達物質の分泌を促し、ストレス反応を和らげることが分かっています。その結果、自己評価がネガティブに傾きにくくなります。
また、定期的な有酸素運動は、「自分の心身をケアできている」という感覚を生み、自己肯定感の安定につながります。
ウォーキングのポイント

- 背すじを軽く伸ばし、肩の力を抜く
- 目線は少し前へ向ける
- 会話ができるくらいのペースで歩く
- 5〜15分を目安に行う
時間や距離は気にしなくて構いません。
「外に出られた」「歩き始められた」だけで十分。歩き終わったあとの体や気分の変化に少しだけ意識を向けましょう。
③ 「できた」を感じやすい運動を選ぶ
自己肯定感は、成功の大きさよりも達成できた回数に影響されやすいことが知られています。
難しすぎる運動や高い目標は、「できなかった」という体験を増やし、逆効果になることがあります。
小さくても「できた」と感じられる行動を重ねることが、自己信頼を着実に育てます。
ポイント
- 「少し物足りない」と感じる運動を選ぶ
- 時間・回数・強度をあらかじめ低く設定する
- 実施できたら、そこで終了する
- できた事実を、心の中で一度だけ認める
自己肯定感を高めることを目的とした運動は「物足りないまま終える」のがコツ。
自己肯定感は「頑張った量」ではなく、「できた回数」で育ちます
④ マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、自己批判や反芻思考を弱めることが多くの研究で示されています。
これは「自分を肯定する」練習ではなく、評価や判断から一時的に距離を取る練習です。結果として、自己評価が過剰に揺れにくくなり、自己肯定感の土台が安定します。
マインドフルネス瞑想の方法

- 椅子に座る、または楽な姿勢をとる
- 目を閉じるか、やさしく前を見る
- 呼吸に意識を向ける
- 息が入る・出る感覚を感じる
- 雑念が浮かんだら、気づいて呼吸に戻す
- 1〜3分を目安に行う
雑念が出るのは失敗ではありません。集中できなくてもOK。
評価をやめる時間が、自己肯定感の土台になります。
下記の記事では科学的に認められている瞑想の方法を紹介しています。瞑想を正しく行えば自己肯定感も高まります。是非参考にして下さい。

⑤ 「良し悪しを判断しない」練習をする
自己肯定感が下がりやすい人ほど、自分の感情や行動を無意識に評価しています。
「良い・悪い」という判断を手放すことで、自己批判の回路が弱まり、自分の状態をそのまま受け止めやすくなります。
これは、自己肯定感を安定させるうえで非常に重要です。
良し悪しを判断しない練習のポイント
- 自分の感情・考え・行動に気づく
- 「良い」「悪い」「ダメ」「正しい」と評価しそうになったら一度止まる
- 評価を外し、事実だけを言葉にする
評価をやめると、自己肯定感は自然に安定していきます。
「判断している自分」に気づけた時点で成功です。
⑥ 自己肯定感は神経の状態に左右されると理解する
自己肯定感は、性格や意志力だけで決まるものではなく、自律神経や脳の状態に大きく影響されます。
この事実を知ることで、自己肯定感が下がったときに「自分がダメだからだ」と考えにくくなります。原因を正しく理解すること自体が、自己否定を減らす助けになります。
ポイント
- 自己肯定感が下がったと感じたとき、すぐに結論を出さない
- 「今は疲れている」「ストレスがたまっているかも」と状態に目を向ける
- 判断や反省は、少し時間を置いてから行う
体調・睡眠・緊張が強い日は、誰でもネガティブになりやすい傾向があります。
「今は神経が疲れているだけ」と考える習慣が、心を守ります。
下記の記事では、科学的に認められている心を癒す方法を紹介しています。心を癒せば自己肯定感は回復します!是非参考にして下さい。

⑦ 感情を言葉にする(感情ラベリング)
感情を言葉にすると、脳の感情反応を司る部位の活動が落ち着くことが分かっています。
これにより、感情に飲み込まれにくくなり、自分の状態を冷静に受け止められるようになります。結果として、「こんな感情を持つ自分はダメだ」という評価が弱まります。
感情ラベリングのポイント
- 今感じている感情を、短い言葉で表す
- 理由や解決策は考えない
- 心の中で、または小さな声で言ってみる
正確な言葉でなくてOK。ポジティブに言い換える必要もありません。
感情を言葉にできると、自分を否定しにくくなります。
⑧ セルフ・コンパッション(自分を責める言葉をやめる)
自己批判は、自己肯定感を不安定にする最大の要因の一つです。
一方、セルフ・コンパッションは、失敗やつまずきがあっても自己価値を保つ力になります。
研究では、自己への思いやりが高い人ほど、長期的に安定した自己肯定感を持ちやすいことが示されています。
セルフ・コンパッションのポイント
- 失敗したときの「自分への言葉」に気づく
- 親しい人にかける言葉を想像する
- その言葉を、そのまま自分にも使う
最初は違和感があっても問題ありません。
自己肯定感は「優しい言葉」で守られます。
⑨ 失敗を人格と切り離して考える(CBT的再評価)
自己肯定感が下がる多くのケースでは、「失敗=自分の価値」と結びつけてしまっています。
認知行動療法では、出来事と人格を分けて考えることで、自己評価の過度な低下を防げることが示されています。
これは、自己肯定感を守るための重要なスキルです。
CBT的再評価のポイント
- うまくいかなかった出来事を書き出す
- 「何が起きたか」だけを事実として整理する
- 「自分はダメだ」という評価を外す
出来事と人格を結びつけないのがポイント。原因探しは責めるためではなく、整理のために行います。
失敗しても、自分の価値は変わりません。
⑩ 自己肯定感は「上げる」より「下がりにくくする」と捉える
研究では、自己肯定感の「高さ」よりも、安定性がメンタルヘルスと強く関連していることが分かっています。
一時的に気分が上がることより、下がったときに回復できることのほうが重要です。この視点を持つだけで、
自己肯定感に対するプレッシャーが大きく減ります。
ポイント
- 自己肯定感が下がる日があることを前提にする
- 下がったときに回復できる行動を持つ(運動・呼吸・休む など)
- 元に戻れたら、それで十分と考える
自己肯定感は、常に高い必要はなく、波があっても問題ありません。
元の状態に安定して戻れることが大切です。
まとめ|自己肯定感を高める習慣を身につけよう
自己肯定感は、無理に高めようとするものではありません。
- 身体を動かす
- 神経を休ませる
- 自分を責めない
こうした行動を積み重ねた結果として、自然に下がりにくくなっていくものです。
今日できそうなことを、1つ選ぶだけで十分です。
参考文献
- Thayer, J. F., & Lane, R. D. (2000). Neurovisceral integration model.
- Neff, K. D. (2003). Self-compassion: An alternative conceptualization of a healthy attitude toward oneself.
- Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control.
- Creswell, J. D. (2017). Mindfulness interventions.


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