- この記事ではAppleWatchで確認できる心電図の見方を簡単に紹介しています。
- 正常な心電図を見極めるポイントはQRS波の「幅」と「間隔」、「ST部分」、「心拍数」の4つです。
- 病院に行くべき心電図が表れたら、心電図を記録して病院に持っていきましょう。
AppleWatchで心電図を見極めましょう。AppleWatchは心拍数だけでなく、心電図も確認、記録できるため大変便利です。
しかし、心電図を見られるようになるには大変なことです。医療従事者でも「心電図は難しい…」とお話されるくらいです。
私は数年間、心臓病の患者様のリハビリテーションを病院で行っていました。
働き初めの頃は心電図が難しくて堪りませんでしたが、先輩から心電図のポイントを教わった所、心電図が見られるようになりました。
その心電図のポイントとは、
- QRSの幅が狭い
- 〃 の間隔が一定
- ST部分
- 心拍数
の4つです(用語については後述します)。
心電図の4つのポイントを理解するだけで、心電図に馴染みのない方で見られるようになります。
この記事では、
- 心電図4つのポイント
- 病院に行くべき心電図
を簡単に紹介します。
AppleWatchで心臓の状態も把握できるようになりましょう。なお、不整脈でお悩みの方はヨガがオススメです!
心電図の4つのポイント
心電図を見られるようになるには、まずは基本の心電図(正常な心電図)を覚える必要があります。
「基本の心電図」=「心電図のポイント」です。心電図のポイントをまずはおさえましょう。
基本の心電図
正常な心電図は、下の図のようにQRS波(紫色)が上に出ます。
*この記事はわかりやすさをテーマにしていますが、「QRS波」という言葉を使った方が分かりやすいので、専門用語を使わせてもらいます。
QRS波の形が正常な心電図を見極めるポイントとなります。
QRS波の幅が狭い
「幅が狭いこと」が心電図の1つ目のポイントです。
正常なQRS波は下の図のように幅が狭いです。
QRS波の間隔が一定
2つ目の心電図のポイントは、「QRS波の間隔が一定であること」です。
QRS波の間隔が一定ではなく、不規則な場合は不整脈が行っている可能性が高い状態です。
「間隔が一定」が心電図の2つ目のポイントです。QRS波の感覚が一定ではなく不規則な場合、心房細動が疑われます。
ST部分
心電図のポイント3つ目は、「ST部分」です。ST部分はQRS波に続く部分を指します。
ST部分が上の図のように平らであれば正常な心電図です。
心筋梗塞や狭心症といった心臓病が起こっている場合は、ST部分が上がったり、下がったりします。
ST部分は運動中に変化が起こりやすいので、運動中はST部分の確認が特に必要となります。
心拍数
心電図のポイント4つ目は、「心拍数」です。AppleWatchで心電図の波形を確認することも大切ですが、心拍数の確認も大切です。
そもそも心拍数は心臓が1分間に何回拍動しているかを表しています。正常な心拍数は60~80拍です。
安静時の心拍数が50拍以下の場合や100拍以上ある場合はなにか病気が隠れている可能性があります。
- 心拍数50拍以下:徐脈(じょみゃく)
- 心拍数100拍以上:頻脈(ひんみゃく)
と言います。
病院に行くべき心電図
基本の心電図の形を頭に入れて、病院に行きべき心電図を見ていきましょう。
病院に行くべき、危険性が高い心電図は、
- QRS波の幅が広い
- 不整脈が続く
- 〃 の間隔が一定ではない
- 心拍数が極端に少ない、または多い
- ST部分が大きく変化している
の5つです。
この5つは心電図の基本を押さえておけば、必ず見極めることができます。
心電図の幅が広い
正常なQRS波は幅が狭いですが、不整脈のQRS波は幅が広いのが特徴です。上図左側のQRS波は幅が狭く正常ですが、右側のQRS波は幅が広くなっています。
これが不整脈です。
不整脈が起こることで、
- ドキドキする
- 胸に違和感を感じる
などの自覚症状があります。
不整脈は誰にでも起こりますが、不整脈が出現する度に動悸や胸に違和感を感じる場合は病院に行きましょう。
また、図の心電図のように不整脈の形は様々です。
不整脈が続く
QRS波の間隔が広い不整脈が続く場合は緊急性が高く、危険な状態です。上図の心電図は不整脈が連続したものです。
このような心電図が続くと失神する可能性があるので、とても危険です。
QRS波の幅が広い不整脈が3回以上連続して発生する場合はすぐに病院に行きましょう。
QRSの間隔がバラバラ
QRS波の間隔が一定ではない、バラバラな状態は危険な状態です。
下図の心電図のようなQRS波の間隔が一定ではない心電図を確認した場合はすぐに病院へ行きましょう。
心房細動は要注意
上の心電図は「心房細動」という不整脈です。そもそもAppleWatchは「心房細動」を検出することを目的に開発されました。
心房細動になると、
- 心拍数の変動が大きい
- 動悸があらわれる
- すぐに息が上がる
といった症状があらわれますが、心房細動で最も恐ろしいことが「脳梗塞の発症」です。
心房細動によって心臓内に「血栓」ができます。その血栓がなにかの拍子で脳の血管に移動すると、脳梗塞を発症してしまいます。
脳梗塞を防ぐためにも心房細動は早期に発見し、早期に治療を行うことが重要です。
自分で心房細動を見極める
心房細動の早期発見のためにAppleWatchを活用することはとても有効です。
しかし、AppleWatchも常に心房細動を検出することができないとされています。
そのため、
- 動悸
- 息切れ
- 疲れやすい
といった症状がある場合はAppleWatchで心電図を確認し、QRS波の間隔が一定かどうか確認して下さい。
上記でも紹介しましたが、心房細動は治療せずに放置しておくと脳梗塞を発症する危険があります。
脳梗塞を発症すると日常生活に支障をきたすだけでなく、最悪の場合死を招きます。
AppleWatchで心房細動を発見した場合、その日のうちに病院に行きましょう。
心房細動の既往がある場合
以前に心房細動の診断を受け、心房細動に対する薬を処方されている場合は病院に行かなくても構いません。
しかし、
- 昨日は正常だったのに、今日は心房細動になっている(QRS波の間隔が一定でない)。
- 以前にも心房細動になって、治ったのにまた心房細動になった。
- 1日の中でQRS波の間隔が一定の時もあれば、そうでない時もある。
- 運動している時など、心拍数が上がると心電図が心房細動になる。
このような場合はすぐに病院に受診しましょう。
繰り返しますが、心房細動を放置しておくと脳梗塞を発症する危険があります。大変危険ですので、すぐに病院に行きましょう。
心拍数が少ない、または多い
正常な心拍数は60~80拍です。
心拍数が50拍以下の場合は、全身、脳に血液が行き届かずに失神してしまいます。
このような場合は「ペースメーカー」の埋め込みが検討されます。
逆になにもしていないのに心拍数が130拍や150拍ある場合は心臓や自律神経などの異常が考えられます。
- コーヒーを飲み過ぎている
- エナジードリンクを飲み過ぎている
- 寝不足
- ストレスがたまっている
- 不整脈がでている
上記のような原因が考えられます。
なにもしていないのに心拍数が150拍あると、おそらく動悸と息苦しさが症状として表れると思います。
このような場合も病院で診てもらいましょう。
ST部分が変化している
心電図のQRS波に続くST部分は、心臓の筋肉である心筋にしっかり血液が流れているかをあらわしています。
下の図の左側の「ST上昇」は心筋梗塞を発症している時の心電図です。
心筋梗塞が発症すると胸や胸の周辺が痛くて堪らない状況です。すぐに救急車を呼びましょう。
また、上の心電図の右側は「ST低下」をあらわした心電図です。ST部分が低下した心電図は狭心症を発症している人によく見られます。狭心症を発症している場合はSTの低下は安静時には見られません。
運動や身体を動かして心拍数が上がることでST部分が低下します。
ST部分が低下すると心筋に十分な血液が流れていないだけでなく、不整脈が多発するなど心臓の働きにも異常があらわれ始めます。
運動前と運動中の心拍数が上がった状態の心電図を確認し、ST部分に変化がある場合は心電図を記録し、病院を受診するようにしましょう。
心電図を記録して心臓の病院に持っていきましょう
「家にいるときは不整脈があったのに、病院で検査したら不整脈が見つからなかった」。
このようなことが多々あります。
そのため、不整脈をAppleWatchとIphoneで記録して、病院でお医者さんや看護師さんに診てもらいましょう。
病院では不整脈と自覚症状を確認されて、必要であれば薬の処方や治療が検討されます。
まとめ
- この記事ではAppleWatchで確認できる心電図の見方を簡単に紹介しています。
- 正常な心電図を見極めるポイントはQRS波の「幅」と「間隔」、「ST部分」、「心拍数」の4つです。
- 病院に行くべき心電図が表れたら、心電図を記録して病院に持っていきましょう。
この記事では心電図についてできるだけ簡単に説明しましたが、心電図を見極めるのははっきり言って難しいです。
私も仕事の関係で10年以上心電図を見ていますが、今でも困ることがよくあります。
10年以上心電図を見てきた私の経験上、とにかく心電図を見る回数を増やすことが心房細動をはじめとする不整脈を見つけるポイントです。
AppleWatchで心電図を見る癖をつけて、まずは心電図に馴れるところから始めましょう。
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